門歯の人は浪費家です！

「オッス！ケンちゃん。どこ行ってきたの？」

いつものカフェに入ると整体の先輩が今日も同じ席に座っていた。
老眼鏡をオデコに上げて俺を覗き込んでいる。

「ちょっと今日は歯医者さん行ってきたのですよ」
「へー、そうだケンちゃん　ちょっとイーってやってみて。あぁ歯並びいいね～！」
といって俺の歯をジロジロ観察しだした。

「何なんですか？いきなりイ～なんてさせて気味が悪いね！」

「そうじゃないのだよ。水野南北という人相学の権威によるとね、歯並びで将来が見えるそうなのだ」
「うそ～そんなことまで関係あんの？」

［水野南北＝江戸時代の中半期京都に住みカラダの相を研究していた人相学の権威　三年間散髪屋で頭の相を研究し三年間風呂屋でカラダの相を研究し、三年間火葬場で亡くなった人の骨相を徹底的に究めて研究した人物で弟子は600人以上いた］
「そうなんだよ。ケンちゃんは歯並びがいいから問題なしだ！」

そういうとまた読書するために老眼鏡を定位置に戻し黙って読書はじめてしまった。
宙ぶらりんじゃないか、
タイで綺麗な女の子がいて、でもタイ人はかわいい顔したレディーボーイという種類の人種がいると聞く。だから質問した。
君は男の子なの？女の子なの？
女の子よ
そっか。じゃ
みたいに答えさせておいて、で？アタシは女の子だけど女だったら何なの？って困惑するだろ？
「せ、せんぱい、歯並び良し、以上用はナシって酷くね？歯並びが悪いと何なのか教えてよ」とせがんでみた。

俺は水野南北の人相学について深掘りして欲しかったんだ。

「あれ？ケンちゃん占いとか好きじゃないんだろ？それとも興味出てきちゃったの？」
俺はうっすら気が付きだしていた。コレは罠だな、占いの魅力に気が付けと俺をそっち方面に引きずり込もうとしているのだな。
先輩は長いコト生きてきたから戦術も興味を引くように話しているのに違いない。

そしてこっちが興味を示そうとするとサーーーっと潮が引くように俺を海に引き込んでいく。
先輩の作戦に乗るのもしゃくだし、どうしようかな。

でも興味なくない。だって歯並びで何かを判断出来たら楽しそうだ。
ココはいったん興味があるから教えてくださいって言ってみようかなぁ
「先輩中途半端なトコで終わらせるからさぁ興味はないけど、会話をちゃんと完結してから読書に戻ってよ～」
教えてくださいと言うつもりが、先輩が悪いて感じで言っちゃったよ。

「いいよ教えてあげる。歯並びというか上の歯の前歯が開いていると門歯と呼ぶそうなんだけどね、門歯の人はお金が貯まらないのが決まっているんだ」
前歯に隙間がある人を門歯という？

俺の親友は正に門歯で浪費家だ。

門歯は金が貯まらないのが決まっている？？
前歯が隙っ歯　スキッパ　
【スキッパは金が貯まらない浪費家】
俺は片っ端から友達の顔をスクリーニングしだした。もう一人スキッパーを想い出した。
ホントだ、浪費家だった。スキッパーやば！！！